桜の木の下にはアレが埋まっている。
2009-04-06


禺画像]
あと何回桜を観る事ができるだろう。
などと特に思っていた訳ではないが、
ここ数年、
積極的に花見に行く回数が増えた気がする。
まさか、死期が近づいているんではないだろうな。
 
しかし花見の宴席などを見かけると、
誰も花など見ておらず、
酒や食べ物、ばか騒ぎに夢中である。
 
古来、桜は枯れ木にいきなり花が咲くので、
なにかしら強い霊力が宿っていると考えられてきた。
その下に集い酒を酌み交わすのは分からぬでも無い。
 
花より団子などとも言う。
が、それにしても実際の宴席には、風流さは微塵も感じられない。
まあ、人間の感性は十人十色ではあるのだから、皆が同じ感覚で桜を見ているとは限らない。
 
ただ、昨日行った桜の名所になっている神社の境内の屋台で、嫌な行為を目撃したのだ。
鳥居をくぐって最初の屋台の、おそらくアルバイトと思われる若い店員が、
店で出た廃油を近くの排水口に流していたのだ。そのまま川に流れ込むだろうところにである。
 
彼は言われたままにやっただけなのだろうが、到着早々気分が悪かった。
神聖な神社で、しかも美しいものを愛でようという時に、あるまじき行為である。
おそらく、その屋台の店主にとって、神聖なものも美しいものも無価値で、
大事な事は唯一、金儲けだけなのだろう。
 
時代は違っても、この季節に各地の名所に花見に訪れる人が絶える事はない。
表向きはいつの時代も変わらぬ、春を代表する麗しい風物詩であるが、
訪れる人の心の中は、いつの間にか変質し、大事な何かを失ってはいないだろうか。
 
桜の木の下に本当に屍体が埋まっているかどうかはともかく、
生ゴミは埋まってそうではある。
真っ昼間から泥酔して転がっている輩なら何体も見たが、あれを屍体と言えばそうかも知れない。
 
本当に埋まっているのは、死んでしまった「日本人の心」なのではないか。
 
お、なんか、新聞の一面のコラムみたいなうまい事を書いたんじゃないか?
…と、ムリヤリ落とそうとする私が、一番心を失っている事に今気がついた。
 
[社会<society>]

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